最近は、スマホのカメラも性能が良くなり、常に持ち歩いているため、気軽に写真を撮ることができるようになりました。それによって、低価格帯のカメラの販売は不振。そんな中、65万円のLeicaQが2015年6月に発売されました。私は発売日に購入し、現在も使用しています。現在は、解像度が増したLeica Q2が発売されています。
Leicaはドイツの有名なカメラメーカーで、写真を趣味とする人であれば、聞いたことはあるメーカーだと思います。フィルム時代の35mmフィルムサイズを作り上げ、現在のフルサイズデジカメのフルサイズもこのサイズが基準となっています。

Leicaといえば、Mシリーズが有名でレンズを除くカメラ本体だけでも100万円ぐらいします。レンズも数十万円します。そんな高級カメラメーカーもコンパクトデジカメを出していて、その一つがLeica Qになります。
しかし、コンパクトデジカメとはいってもかなりの大きさです。そもそもコンパクトデジカメというのは、レンズ交換ができる一眼レフカメラに対して、一般的にはレンズ交換ができないカメラの事を指します。Leica Qでは28mmレンズという広角レンズが搭載されていてレンズ交換はできません。


カメラのレンズは、望遠、標準、広角に分けられて、人や時代により差はありますが、28mmというのは現在は広角に分類されます。少し前の標準ズームレンズの広角側が28mmだったので、広角の中でも標準レンズに近い使い方ができる画角です。35mmや50mmが物を注視する視野と同じ画角であるのに対して、28mmはちょうど視野全体を写す画角になります。

レンズには画角以外にも重要な数字があります。f値とよばれる物です。簡単にいうとf値が小さいほど明るい写真が撮れます。明るい写真を撮れるということは、暗い場所でもシャッター速度を早くする事ができるため、ブレの少ない写真を撮ることができます。Leica Qには、f値1.7とかなり明るいレンズが搭載されています。

また、f値が小さくなると被写界深度と呼ばれる焦点が合う奥行きの範囲は狭くなり、被写体を際立たせた写真を撮ることができます。f値はカメラ本体の絞りでも変更はできるのですが、あくまでも足し算でf2.0のレンズに本体の絞りでf3.0の写真を撮ることができますが、レンズのf値を下回る設定はできないので、レンズのf値が小さいということは重要になります。

本体の性能としては、ピント速度画かなり早くなっています。私はX VARIOも使用していますが、ピントが合うまでに2テンポぐらい早いため、シャッターチャンスを逃しにくくなりました。

また、マクロモードでの最大接近距離が17cmと、かなり寄って撮ることができます。これはセンサーから17cmになります。レンズ先からのいわゆるワーキングディスタンスは8cm程度となります。マクロモードへの切り替えはレンズのモード切り替えリングを回して変更しますが、そのときに焦点距離のメモリがマクロモード用に切り替わります。機能性とともに、ガジェット好きにはたまらないギミックです。

通常のモード

マクロモード




LeicaQではクロップという機能で、付いているレンズは28mmですが、撮影センサーの一部分だけを使うことで35mmと50mmの撮影もできるようになっています。もちろん、センサーの一部分のみを使うので、写真の画素数は減ることになります。


使ってみてレビュー


まず、Leica Qは一眼レフではなく、コンパクトデジカメです。サイズ的には他メーカーの小型一眼レフぐらいのサイズがありますが、あくまでもコンパクトデジカメ。つまりレンズ交換ができません。このレンズ交換ができない事をどう思うかで評価は変わると思います。
私は写真を趣味として写真撮影の為に遠出をする事もありました。取りたい画を撮るためには複数のレンズを取り替えて、景色を切り取る必要があるため、一眼レフも使っていました。
しかし、最近は写真を撮るために遠出をするというより、旅行先で目の前の景色を撮るということが増えました。こういう使い方になると基本的には標準レンズだけで十分になります。ぱっと取り出して撮影するなら、レンズ交換は不要になります。レンズ交換をしないのであれば、レンズに対して最適化されているコンパクトデジカメの方が光学的にもシステム的にも優れていると思います。

私は旅行の時には、28ー50mmズームが搭載されたX Varioと、RX100M7(以前はLeica C-Luxでした)を持って行きます。食事やちょっとした写真であればRX100M7のみを持っていきます。X VarioはLeica Q購入前の主力機でしたが、今はLeica Qの予備機みたいなポジションになってます。ただ、Leica QはX Varioと比べると大きいので、その日の旅程や天候でX Varioをメインにするときもあります。


Leica X vario

SONY RX100M7
 
クロップ機能に関しては、28mmで撮った画像をトリミングすることと変わらないですが、被写体を前にして景色を切り取ることは、出来上がった画像の一部分を切り取ることとは別の楽しさがあり、それは写真1枚に込められた意味や想いが濃縮される過程であるとも考えています。(35mmで約1,500万画素、50mm相当は約800万画素の写真になります。)
Leicaはそういう写真を撮る楽しさという意味で敢えてこういう機能を付けたのかなと個人的には思っています。

シャッター速度、ピント性能に関しては、Xvarioから格段に上がっています。全く不満はありません。スマホからの撮影や写真転送にも対応していて、SNSなとでの写真共有も簡単にできます。

好みの問題ですが、私はLeicaの画作りがかなり好きです。これまでD-Lux、C-Lux、X Vario、そしてLeica Qと使ってきていますが、一貫して素晴らしい画作りです。他のメーカーの画作りもそれぞれに良さがありますが、私個人としてはLeicaが一番好きです。
Leica Qではボケ味も素晴らしく、対象にはしっかりピントがあって、背景は優しくボケるので、よりいっそう対象を際立たせてくれます。




操作性に関してはアナログで、基本的にダイヤルでの設定で行います。最近の一眼レフカメラは設定は液晶表示が多いですが、Leica Qは液晶ではなくダイヤルの位置で分かるため、電源を入れる前にもカメラの設定がわかり、とても便利です。フィルムカメラ時代からダイヤル式のカメラを好んで使用しています。これも好みの問題ですが、そういった時代が変わっても変わらない良さというものがあると思います。



価格に関しては65万というのは、国産メーカーの一眼レフの上位機種がレンズ付で視野に入る価格です。ただ、Leicaの最もスタンダードなモデルであるLeica Mはレンズ無しの本体だけで100万円以上して、レンズもSUMMILUXで85万円もします。つまり、Leicaのカメラとしては破格の安さになります。さらに、レンズ交換式カメラではレンズ沼といって、どんどんレンズを買い足していくことになります。レンズ交換画ない、コンパクトデジカメではその心配はありません。

暗所で明るいレンズとはいえ、逆光などで被写体が暗く写ることがありますが、明るさを調整することができます。EV調節はデジカメならほぼ標準の機能ですが、親指のところにあるダイヤルに割り当てることができるので、便利だと思います。

現在は後継機のLeica Q2が発売されていますが、主要なスペックは変わらずにセンサー画素が2420万画素から、4730万画素にアップしています。クロップ機能を使用しても、画質の劣化が少なくなりました。そして、その分70mmのクロップが追加されました。ただ、Leica Qのクロップであって、プリントアウトしてもかなりの大きさまでは画質的には耐えるため、問題無いと思います。少なくとも、今のLeica QをQ2に買い替える必要はないと思っています。


Leica Q2

かなり高額なデジタルカメラですが、普段使いに機能的には十分で、最新のスペックを追い求めずに、Leica色の写真を残すという意味では長く使えるカメラだと思います。
外出時の相棒と呼べる1台です。